アブロ・ランカスター爆撃機

アブロ・ランカスター爆撃機

 執念深い英国流の戦い(ラグビーでのスクラム戦のような戦い)のために作られたような爆撃機。作戦での損失率は高く、大戦中に3000機以上が失われた。
 この爆撃機は、アメリカのB-17やB-24とともにドイツに大量の爆弾を落として、最終的にドイツをたたきのめした。
 著者鈴木五郎氏は「墜とされても堕とされれても敢然と、そしてさりげなく爆撃に向かう『ランカスター』の乗員たちは、日本における特攻隊員とまさに同じ姿である。彼らは戦争仕掛人(ナチス・ドイツ)に対してこらしめの出撃を行い、大英帝国の栄光の前に、さりげなく死んで行った。そして彼らの戦略絨毯爆撃によって、何十万、何百万のドイツ人が傷つき、死んで行った。戦争の悲劇は、勝者も敗者も変わりはない。」と、まえがきに記している。

 有名なエピソード、「ダムバスター」の章からはじまり、アブロ練習機からデルタ翼のアブロ・バルカンまでのアブロ社の歴史をも描いている。A.V.ローが作ったから、アブロなんだ。




1 アブロ「ランカスター」
2 デハビラント「モスキート」
3 コディ「カセドラル」
4 「ロー2」
5 ライト1908
6 ボアザン
7 アンリー・ファルマン
8 ブレゲー
9 カーチス
10 ブレリオⅪ
11 アントワネット
12 B・E・1
13 B・E・2
14 B・S・2(S・E・2)
15 D・H・4
16 D・H・60「モス」
17 D・H・89「ドラゴンスピード」
18 「コメット」
19 ハンドレペイジA
20 ハンドレペイジD
21 ハンドレペイジE
22 ハンドレペイジ「ハリファックス」
23 アブロ「メイフライ」
24 「フィリップス1」
25 「フィリップス2」
26 ライト「フライヤー」
27 ショート「エンパイア」
28 ショート「サンダーランド」
29 ソッピース「パップ」
30 ソッピース「キャメル」
31 バージェス・ライト
32 「バットボート」
33 アブロ「マーキュリー」(ロー3)
34 「ロー4」
35 アブロ500
36 アブロF
37 ドゥペルデュサンB型
38 モラヌ・ソルニエーG型
39 アンリー・ファルマン3型
40 モーリス・ファルマンMF7
41 ブレゲー3型
42 モラヌ・ソルニエーG型
43 ブリストル「ボックスカイト」
44 ショートS27
45 アブロG型
46 エトリッヒ「タウベ」
47 カーチス「ゴールデンフライヤー」 
48 ライト「ベビー」
49 ヴィッカースB・2
50ヴィッカースF・B・7
51 ヴィッカースF・B・11
52 アブロ501
53 アブロ504
54 アルバトロスD1
55 ゴータ爆撃機
56 ブリストルF・2B
57 フォッカーDrⅠ
58 AEG複葉単発機
59 デハビランドDH16
60 ハンドレペイジO/400
61 ファルマン「ゴリアテ」
62 カーチス「ジェニー」
63 D・H・53「ハミングバード」
64 D・H・60「モス」
65 アブロ「オルダーショット」
66 ハンドレペイジ「ハイデラバード」
67 ヴィッカース「バージニア」
68 フォッカーFⅦb/3
69 フォード「トライモーター」
70アブロ5
71 アームストロング・シドレー「ジェニット」
72 アブロ6
73 アブロ製フォッカー
74 アブロ10
75 アブロ「エビア」
76 デハビランド「ジプシーモス」
77 アブロ「チューター」
78 アブロ「シーチューター」
79 セスナA
80 ビーチクラフト17B
81 ヴィッカース「ビミー」
82 ハンドレペイジV/1500複葉四発機
83 カーチスNC飛行艇
84 ヴィッカース「バルチュア」
85 フォッカーC・4
86 ダグラス・ワールドクルーザー
87 ライアン「スピリット・オブ・セントルイス」
88 ロッキード「ヴェガ」
89 ラテコエール28
90ベランカ「スカイロケット」
91 スーパーマリン「シーライオン」
92 サボイアS51
93 マッキM7
94 カーチスR3C
95 スーパーマリンS4
96 マッキM39
97 スーパーマリンS5
98 グロスターⅣ複葉レーサー
99 M52
100 スーパマリンS6
101 M67
102 Mc72
103 スーパマリン「スピットファイア」
104 メッサーシュミットMe209
105 アブロ641「コモドア」
106 アブロ652
107 アブロ「アンソン」
108 ロッキード「オライオン」
109ロッキード「ハドソン」
110メッサーシュミットMe109
111 ホーカー「ハリケーン」
112 ハインケルHe111
113 ボーイングB17
114 アームストロング「ホイットワース・ホイットレー」
115 ヴィッカース「ウェリントン」
116 アブロ「マンチェスター」
117 ハンドレペイジH・P・56
118 ハインケルHe177「グライフ」
119 フォッケウルフFw200
120 コンソリデーテッドB24
121 ボーイングB29
122 一式陸上攻撃機
123 100式重爆「呑竜」
124 ユンカースJu88
125 ドルニエDo17
126 ユンカースJu89
127 ユンカースJu87
128 メッサーシュミットMe110
129 ハインケルHe219
130 P-47
131 P-38
132 P-51
133 Me262
134 アブロ「チューダー」
135 アブロ「ヨーク」
136 デハビランド「コメット」
137 ロッキードP3C
138 グラマンE2C
139 アブロ「シャクルトン」
140 アブロ「バルカン」
141 アブロ「バリアント」
142 アブロ「ビクター」
143 B-52
144 B-2
145 アブロ「アロウ」
146 アブロ「キャナック」
147 ショート「スカイバン」
148 「ハリアー」
149 「シーハリアー」
150「ニムロッド」
151「コンコルド」


光人社NF文庫
鈴木五郎
2006年11月11日版

双胴の悪魔:P-38

全編P-38づくしです。
これまでの概念をこえて新しい飛行機を作ろうとした苦労や失敗の積み重ねが興味深い。
飛行機誕生の話はみな同じように苦労話がついてまわるけれど、いづれも人間味くさくて戦闘場面の話よりずっと面白いと思ってしまう。

ダイブブレーキがつくまでの初期型は急降下速度が早くなりすぎて、引き起こし下できなかったため、しばしば空中分解事故を起こしたようだ。音速に近い速度まで近づいた例もあるらしい。

また、戦争が始まってからのバタバタで、大西洋を空輸するときに行方不明や事故がおきたことなどが記されている。本来の戦闘前に事故で飛行機や搭乗員が消耗することはどこの国でもにたようなことが起きている。

P-38は、そのナンバーからわかるように設計はかなり早い時期から始めている。
しかし、完成には時間がかかり、それでも戦場に登場したときにはその力を十分に発揮することができた。ヨーロッパ戦線だけでなく太平洋戦線でも活躍し、遠距離飛行ののちに山本五十六大将の搭乗する一式陸上攻撃機を撃墜したミッションでも有名。
双胴ゆえに、脱出時に尾翼に打たれて死んでしまうことが多かったり、双発なのに片肺飛行が難しくて墜落が多かったりと、へえというようなことが多くかかれていた。

読み応え十分、面白い一冊でした。

登場する飛行機
2 ボーイングB-17G
3 コンソリデーテッドB-24J
4 マーチンB-26マローダ
5 ダグラスA-26インヴェーダー
6 ビーチC-45エクスペディター
7 ダグラスC-47スカイトレイン
8 フェアチャイルドC-119
9 ボーイングB-47Eストラスジェット
10 ノースロップF-89スコーピオン
14 ベルP-63キングコブラ
15 ノースアメリカンP-82ツインムスタング
16 スピットファイア14型
20 グラマンF8Fベアキャット
22 フェアチャイルドPT19型
23 ヴァルティBT13型
24 ノースアメリカンT6テキサン
25 零戦
26 ダグラスA-20ハヴォック
27 ノースアメリカンB-25ミッチェル
28 ボーイングB-29スーパーフォートレス
31 ダグラスB-23ドラゴン
32 ハインケルHe111
33 ユンカースJu87
37 ノースロップP-61ブラックウィドウ
38 
40 ホーカーハリケーン
41 ヴァルティXP-54
42 ロッキードXP-38
43 グラマンXP-50
44 グラマンXF5F-1
45 ロッキードYP-38
46 ロッキード・ロードスター
47 ハドソン爆撃機
48 カーチスSB2C-4ヘルダイバー
49 フォッケウルフ200K四発爆撃機
50 九七式大型飛行艇
52 XS-1
53 ロッキードP-80
54 C-130輸送機
55 サヴォイア・マルケッtィSM82
56 メッサーシュミットMe323
58 AT-6練習機
59 AT-9練習機
60 P-43
61 メッサーシュミットMe210
63 二式水上戦闘機
64 ベルP-400
65 Mig-15
66 F86


マーチン・ケイディン
朝日ソノラマ文庫
昭和58年11月15日初判