戦闘機「飛燕」技術開発の戦い


−日本唯一の液冷傑作機-
技術系のエピソードがたくさん書かれていて、興味深い。

よくとりあげられるDB601エンジンのエピソードだが、この本で読んであらためてお役所仕事のむなしさを強くする。
それは海軍と陸軍がそれぞれが巨額を投じてドイツとDB601の輸入契約をしたこと。
ヒトラーにあきれられ、ドイツ側関係者から海軍も陸軍も同じ日本の軍隊でしょと気を使われてしまう。

DB601が輸入される時期、日本の航空機産業は5年は遅れをとっていた。
その致命的な遅れを解消すること無く、戦争に突入した。
DB601は軸受けにボール・ベアリングを使用していたが、そのボールを磨くための精密な自動研磨機がドイツでは稼働していた。
しかし、日本では動員された女学生がヤスリで磨いていた。
ミクロン単位の精度とミリ単位の精度の差。
その精度の差は、エンジンの耐久性にそのまま反映してしまう。
愛国のハチマキ締めてがんばっても、その差をうめることはできません。

飛行機の降着装置から出発した大企業のダウティ社が、事業をはじめて間もない時に川崎九二式戦闘機で認められたことから、いまだに展示室を設けて写真とプレートで顕彰しているというエピソードはなかなかいい。

飛燕空輸部隊のエピソードは、うーんと考えさせられるぞ。
どう考えても陸軍の非合理性は説明がつかない。

しかし、総じて飛燕の設計はすばらしかったと思う。
その最大の特徴は翼長の長さかな。

1 「火竜」
2 「橘花」
3 「紫電」
4 「紫電改」
5 C46
6 C47
7 C54
8 F100
9 F101
10 F102
11 F104
12 F106
13 YS11
14 カーチスP36
15 カーチスP40
16 キ102双発戦闘機
17 キ28
18 キ33
19 キ48双発軽爆撃機
20 キ56(ロッキード14スーパーエレクトラ)
21 キ60重戦(川崎)
22 キ61中戦(川崎)
23 キ62軽戦(中島)
24 キ63重戦(中島)
25 キ64重戦(川崎)
26 キ65重戦(三菱)
27 キ66急降下爆撃機(川崎)
28 キ67重爆(三菱)
29 キ82遠距離戦闘機(三菱)
30 キ88
31 キ91(四発超重爆撃機)
32 グラマンF3F
33 グラマンF6F「ヘルキャット」
34 グロスター・グラディエーター
35 コンソリデーテッドB24
36 スーパーマリン「スピットファイア」
37 セバースキーP35
38 ノースアメリカンB25
39 ノースアメリカンP51「ムスタング」
40 ノースロップ・ガンマ
41 ハインケルHe100(He113)
42 ハインケルHe112U
43 ハインケルHe52
44 フィアットCR42
45 フォッケウルフFw190D
46 ボーイングB17
47 ホーカー「テンペスト」
48 ホーカー「ハリケーン」
49 マッキC200
50 メッサーシュミットMe109
51 メッサーシュミットMe109R速度研究機
52 メッサーシュミットMe163
53 メッサーシュミットMe262
54 リパブリックP47「サンダーボルト」
55 レッジァーネ2000
56 一式戦闘機「隼」(キ43)
57 九一式戦闘機
58 九九式軽爆撃機
59 九五式戦闘機
60 九七式司令部偵察機
61 九七式重爆撃機
62 九七式戦闘機
63 九二式戦闘機(KDA五型)
64 九六式戦闘機
65 五式戦闘機
66 甲式四型戦闘機
67 高速度研究機「研三」(キ78)
68 三式戦闘機「飛燕」
69 三菱A6Mゼロ戦(十二試艦上戦闘機)
70 四式戦闘機「疾風」
71 十七試艦上戦闘機「烈風」
72 川崎三型
73 川崎キ一一型
74 川崎キ五型
75 川崎キ十型
76 超長距離機A26(キ77)
77 二式戦闘機「鍾馗」(キ44)
78 二式複戦「屠竜」(キ45)
79 八七式中爆撃機
80 八八式偵察機一型
81 八八式偵察機二型
82 百式司令部偵察機


光人社NF文庫
碇 義朗
1996年初版

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