空母ガムビアベイ














 この本は正確には飛行機本ではなく艦船本なんです。でも、アベンジャーを積んでいた空母の本ということでお許しを!作者のエドウィン・ホイトは「潰滅ーシュペー艦隊の最後 」や「海の勇者ー巡洋艦エムデンの乗組員たち」など軍艦に関わるドキュメントを多く書いています。この「空母ガムビアベイ」も太平洋戦争時に急造された小型護衛空母の戦いとその乗組員を描いたドキュメンタリーです。

 真珠湾攻撃を受けてから計画されて作ったアメリカの小型護衛空母は、突貫工事の間に合わせで作られ、所属する飛行隊も開戦時にはまだ民間人(ほとんどが17~18歳)だった者で構成されていた。乗組員もパイロットも戦争が始まってから寄せ集められた大いなるシロウト集団であり、船も飛行機も戦争が始まってから作られた急造品であったのだ。そのような空母ガンビアベイの建造や乗組員やパイロットの徴募から書き始め、戦い、沈没、漂流、その後まで追っている。

 消耗するアベンジャーやヘルキャットの様子が生々しく書かれている。離着艦で海に落ちたり、他の飛行機にぶつかったり、どんどん飛行機が壊れパイロットが亡くなっていく。戦闘以上に事故での消耗が大きかったし、乗組員の苦労も大変だったことが分かる。

登場する飛行機は
1 PBY飛行艇
2 F2B単座戦闘機
8 スティンソンOY-1(グラスホッパー)
9 ベティ(一式陸攻)
10 ジュデイ(彗星艦爆)
11 ケイト(九七艦攻)
12 P-47
13 P-61夜間戦闘機
14 「洗濯機チャーリー」(水上偵察機)・・・なんだろう、日本の飛行機なんだけど
15 サリー(九七式重爆撃機)
16 リリー(九九式双発軽爆撃機)
19 バル(九九艦爆)


E・P・ホイト
学研M文庫
2002年7月15日発行