翼を愛した男たち




 『ジャッカルの日』で有名なフレデリック・フォーサイスが並べた飛行機乗り物語のアンソロジー。フォーサイスは19才でイギリス空軍に入隊し、1956年から1958年まで勤務している。
 いずれの短編もフォーサイスが選ぶだけの内容をもっている。フォーサイスが冒頭でしている作品紹介を以下に並べた。
出てくる飛行機は不明なものも多い。
でも、ハインケル・・・111だろうか、なんて考えるのもなかなかいい。

●「わたしの初めての飛行機」 H.G.ウェルズ
 若い紳士にとって空飛ぶ機械がれっきとした玩具であった時代を楽しく彷彿させる話。
1 ブレリオ・アラウダ・マグナ

●「ハンス・プファールという人物の無類の冒険」 エドガー.アラン.ポー
 ほらふき男爵やリップ・ヴァン・ウィンクルからさまざまな要素を取り入れたように思われる奇怪な幻想小説。
1 気球

●「高空の恐怖物体」 サー.アーサー.コナン.ドイル
 空を飛び始めた時代の初期の話で、こんにちのわれわれの旅客機とおなじぐらいのたいへんな高さを飛び、高度四万フィートに何が棲息するかをたしかめようとした男を描いている。
1 ポール・ヴェロナー単葉機
2 気球

●「スパッドとシュパンダウ」 W.E.ジョンズ
 新米のアメリカの巣パッド戦闘機部隊が恐るべきリヒトホーフェン・サーカスによって砲火の洗礼を受けるありさまを描いている。
1 SE5
2 アルバトロス
3 ソッピース・キャメル
4 スパッド

●「世界でいちばんすばらしい人々」 H.E.ジョンズ
 ドイツ爆撃の任務を帯びて毎晩夕闇に向けて飛び立ち、夜明け前に(一部)が帰ってくる若者たちの物語
1 デハヴィランド「モス」
2 アブロ「アンソン」
3 ショート「スターリング」
4 スーパマリン「スピットファイヤ」
5 メッサーシュミットMe109

●「彼らは永らえず」 ロアルド.ダール
 空と飛行機を描く物語のなかでも、もっとも風変わりかつ奇怪なもの。
1 ホーカー「ハリケーン」
2 アブロ「ランカスター」
3 ドルニエ(空飛ぶ鉛筆)
4 ハンドレページ「ハリファックス」
5 メッサーシュミット
6 スーパーマリン「スピットファイア」
7 ショート「スターリング」
8 サヴォイア79
9 ユンカースJu-88
10 グロスター「グラディエーター」
11 「ハムデン」
12 マッキ200
13 ブリストル「ブレニム」
14 フォッケ-ウルフ
15 ブリストル「ボーファイター」
16 「ソードフィッシュ」
17 ハインケル

●「羊飼い」 フレデリック.フォーサイス
(フォーサイスは自分の作品には触れていないが、訳者が「いかにもクリスマスにふさわしい話」と書いている)
1 「ヴァンパイア」
2 デハヴィランド「モスキート」
3 スーパーマリン「スピットファイア」
4 ホーカー「ハリケーン」
5 アブロ「ランカスター」
6 ハンドレ・ペイジ「ハリファックス」
7 ショート「スターリング」

●「ヴィンターの朝」 レン.デイトン
 第一次世界大戦が舞台で、幕引きは一見陳腐であり、フランダースで払暁の哨戒に出撃する戦闘機パイロットを描く小品
・・・主人公はシュパンダウ機関銃を武装とするメルテツェデス発動機の飛行機に乗るが機種は不明。主人公の撃墜した飛行機は「ブリストル」

●「ウェーク島へ飛ぶ夢」 J.G.バラード
 ある宇宙飛行士にまつわる物語で、事故らしきことがあって精神に傷を負ったその宇宙飛行士が海辺で健康を回復しようとしている。第二次世界大戦中の爆撃機の残骸を彼は砂の中から掘り起こす。
1 メッサーシュミット109
2 ボーイングB-17「フォートレス」

●「猫」 リチャード.バック
 1950年代のヨーロッパのどこかに配属されたアメリカ空軍のF-84サンダーストリーク戦闘機の飛行隊の世界。
1 F-84「サンダーストリーク」
2 フォッケ-ウルフ
3 メッサーシュミットMe109
4 P-47「サンダーボルト」

●「大空の冒険家たち」 H.G.ウェルズ
 飛行の胚芽期をふりかえる。向こうみずな夢のような計画、突拍子もない発明。常軌を逸した設計、正気の沙汰とは思えない危険なこころみ。

●勇者かく瞑れり」 H.E.ベイツ
 北海上空で撃墜され、波の翻弄される救命筏の上で懸命に生き延びようとするスターリング爆撃機の乗員たちの物語。
1 ショート「スターリング」
2 スーパーマリン「スピットファイア」

●「偵察飛行士」 F.ブリトン.オースティン
 復讐に燃えるドイツの戦闘機に追いすがられる前に味方の前線にひきかえし、伝言鞄を投下しようと苦闘するパイロットを描いている。

●「ミスター・スタンドファストは召される」 ジョン.バカン
 イギリス軍師団がいかに脆弱であるかを知り、喜び勇んでそれを伝えるために帰投する六機のドイツ軍偵察機のほうを見あげている歩兵将校の目を通して、それを描いている。
1 グロスター・グラディエーター(グラーダス)

1997年
原書房
フレデリック・フォーサイス
伏見威蕃・他 訳

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