第二次世界大戦前後の飛行機のフォルムに惹かれて数十年。戦争に使われた飛行機、民間で使われた飛行機、暗い運命を背負った飛行機、栄光に包まれた飛行機・・・そして飛行機にかかわった人間も、興味深いものがあります。そんな飛行機の登場する本を紹介していきます。また、本文に出てきた飛行機をできるだけひろってみたいと思います。
ヒコーキの心
この本を何度読んだことだろうか。
ある時期、寝床の横に佐貫亦男のこのシリーズがいつもおいていました。
短い文章の中に小気味よい佐貫エッセンスの入った文章は、どのページから読み出しても面白い。
おおば比呂司のさし絵もいい。
デフォルメされた絵の一本の線のカーブがその飛行機の特徴を見事にとらえています。
線のやわらかさも、いとおしい。
一種の浮世絵の世界です。
FW200のコンドルの絵の線が最高。
飛行機本にとりつかれた原点になったのがこの本です。
「千回の滑空」
ライト兄弟の話。やはり、ここからでした。
「ややこしい機名」
ドペルデュサン飛行機会社(SPAD)の話。高校時代にインディアンマークのSpadのポスターを宝物にしていたなあ。プラモももってる。
「棺桶とろうそく」
第1次世界大戦のフランス空軍エースNo3のシャルル・ナンジェセールの話です。
「御家人剣法」
フランス人好み、着流しに片手剣の御家人剣客ニューポール一葉半の話です。
「赤い翼」
リヒトホーヘンの乗ったフォーカー三葉半をめぐる話。
「赤い被害」
リヒトホーヘンに撃墜された飛行機の話。この話に続くのがすごい。
「消えた伴星」
溶接工上がりのホルト・プラッツの設計したフォッカーD型の話です。
「空飛ぶカミソリ」
ピアノ工場でつくられた機体ですか。ヤマハだってエンジン作ってるしな。
「二流の誇り」
二流飛行機会社のファルツのセンス。かなりオタクな話になってきたぞ。
「空飛ぶコマ」
二重回転式の画期的なエンジンを積んだジーメンス・シュッカートの話。
「由緒ある爆撃機」
第一次世界大戦でロンドン空襲を行ったゴータ爆撃機の話。宮崎駿が好みそうな機体。
「危険なラクダ」
英国人の哲学を具現したソッピース。
「ティペラリーの翼」
きちょうめんな整いすぎロンドン仕立てのモーニングのようなS・E・5。
「けんかカマキリ」
売られたけんかは必ず買った複座戦闘機。
「熱血詩人の強行飛行」
野暮と粋のきわどフォルム、クセのあるイタリア機。
「猿六村」
日本陸軍の制式にもなったサルムソン。
「どこにでもいるジェニイ」
8000機も作られた練習機
「緑のプレゲー」
ジュラミンを初めて使った軍用機。
「真紅のドラム缶」
大冒険時代の長距離飛行機の物語。いつかパリの航空博物館に行って実物を見てみたい。
「ジンクス号の最期」
ドゥーリットルで有名なジービーの話。事故が多くジンクスをかかえていた。
「フライ・バイ・ワイヤ」
高校生の時に一度プラモデルを作ったことがあるP-26、黄色の塗装がかっこよかった。
「トンボ家族」
第二次世界大戦後にイギリスの飛行場でドラゴン・ラピードを見たという佐貫先生の方に、興味深いものがあります。
「七つの窓」
古き良き時代の冒険小説には、このDC3「ダコタ」がよく出てきますな。戦前、戦中、戦後を働き通す飛行機のベテラン。
「五月の翼」
プロペラ設計者の佐貫先生は、やはりこの航研機のプロペラにこだわり。
「アブの歯ぎしり」
イ16のプラモデルを中学生の時に作ったぞ。へんてこな格好だけどえらく頑丈そうだなと当時思っていました。
「七面鳥の虐殺」
何よりもすごいのは、佐貫先生が1942年にベルリンで過ごしていて、同時代人としてこの飛行機に乗っており、空港でフォッケウルフ・コンドル輸送機を眺めていたという事実。
「貴族の装い」
なるほど、Ju87の美しさはプロシア軍人の服装にある整った快さか、そう言われるとそのように見えてくるから不思議です。
「腰抜けハゲタカ」
この飛行機のプラモデルも高校生の時に作った。飛行機オタクでも何でもない近所の子が作っていたので、中学生の時から欲しいなと思っていた。初めて作った4発機。今から数十年前の話です。
「死の床」
スタイルだけは確かに魅力的ですが、ゴンドラ銃座に乗る銃手の気持ちまで思いをはせることは無かった。それが「死の床」なのか。
「軽戦の思想」
F1マシンが争うレース場に紛れ込んだユーノス・ロードスターという感じでしょうか。
「タラントの勝利」
これは有名。複葉で200km/hくらいしか出せないソードフィッシュが、戦前から10年間も使われ、しかも大きな戦果もあげたというエピソード。
「提督の帽子」
地味な飛行機の逸話にもちゃんと物語。
「美しい中攻」
そうか・・・同時代の日本の飛行機にしては、美形だとおもっていたが。佐貫先生は「ユンカースの匂いがする」と評しています。なるほど。
「艦攻発進」
戦時中、父親が九七艦上攻撃機の魚雷整備をしていたのでこの飛行機の「魚雷」の話はよく聞きました。
「女性向きの飛行機」
佐貫先生が設計をしたプロペラが使われていた練習機の話。
「偉大なる妥協」
妥協ね・・・
「地獄から来た蚊」
同時代にドイツにいた佐貫先生、そうかモスキートによる空襲までちゃんと体験済みでしたか。おそれいりやした。
「ひるまぬドーントレス」
ダグラス社がノースロップ社の計画を引き継いでSBDが完成したんだと。ノースロップはノースラッグという表現が当時流行したんだと。佐貫せんせは、自分の言葉でそのことを語れる。
「ネコの系図」
ヘルキャットのスタイルはあまり良くない、しかし、性能が良ければ形などどうでもいいと佐貫先生はおっしゃるが、ヘルキャットはなにかアメフトのバックスって感じがしてそれなりに格好いいと思うのだけれど。当然、ムスタングはQBね。
「雷電物語」
落第坊主がアメリカ最多生産数の戦闘機になったという系譜がおもしろい。サンダーボルトもアメリカのミステリー小説に出てくる酒場の用心棒みたいでそれなりにクールだ。
「暗殺者」
山本五十六元帥が撃墜されたニュースをスイスで聞くか・・・当時。
「寒い銃座」
西部開拓時代の幌馬車隊なのね、B17って。そういわれればそう見えてくるから不思議。
「慈悲のカタリナ」
この飛行機もプラモデルで作った覚えがある。サイドの窓に特徴がありましたね、確かに。
「蒼ざめたタカ」
古い白黒のイタリア映画を見ているような錯覚を起こす文章。同時代をヨーロッパで過ごした佐貫先生にしか書けない秀逸。
「汚らしい戦闘機」
泥とコケの色の汚れた塗装に、スピナと方向舵を血の色の赤に染め、これでもかとばかりにへたくそな数字をウンコ色の黄色で胴体に描き、まだ足りないかと赤い星の隈どりをしている、しかもやった当人が得意であるから、つける薬がないと評されたヤコフレフ戦闘機。佐貫節、絶好調の文でした。
「スターリングラードの救世主」
やはり佐貫先生は、ちゃんちゃんとソ連の飛行機とのエピソードをもってました。
「シュトルモビク」
一度プラモデルで作りたい機体ですね。空飛ぶ戦車。
「ツバメの変身」
Bf109とはまったく違うと佐貫先生はおっしゃる。しっかりとしたDB601を飛燕に載せたかった。Bf109と似ている飛燕のエンジンを
換えたらFw190と似ていることになったのは不思議。
「ビルマの通り魔」
この飛行機のスタイルには小学生の時に少年雑誌のグラビアで見てから気に入っている。
「坂井三郎空戦記」
我が家にこの空戦機の本があるが、ボロボロである。父親が長い間かけて読んでボロボロにした。ちなみに父は少年整備兵として海軍航空隊にいた。
「大艇二代」
船の科学館ではいつもこの大艇にすりよっていく。後ろから見るとほんとに細い。横から見るとほんとに太い。不思議だ。
「葉巻の夢」
父親はこの一式に何度も乗ったという。よく落とされなかったもんだ。
「天翔ける龍」
一式陸上攻撃機と飛竜が似ているとは思わなかったです。
「モズの孤独」
扱いやすさと頑丈さが外見からも分かる・・・フォッケウルフです。
「コウノトリの冒険」
コウノトリの羽ばたく映像を見るたびに「シュトルヒ」が思い浮かぶのはこの文を読んでから。
「野馬の遠乗り」
ムスタングはアメリカンフットボールの名クォーターバックですな。スーパーヒーローです。
「ゼロ戦殺し」
「コルセア」も「ヘルキャット」と同じようにアメリカンフットボールの選手を思わせる。肩を怒らせた感じが特にそう思えるのです。
「凶悪の記録」
B-29はなにか醜悪な感じが強くついてまわる。B-17とは異質だ。無機質な冷たさが伝わる。佐貫せんせのボルトの頭の話もうなずけます。
「むなしい疾風」
やはり佐貫先生はプロペラから「疾風」の話を切り込みました。
「熱い彗星」
高校生の頃、時折買う飛行機の雑誌に写真があってこいつをよく見ていました。
「薄暮のスズメ」
別の雑誌でこのフォルクス・イェーガーの記事を読んだ。よくできているんだな、これが。かんたんに整備が出来るんだって。
「雲上の要塞」
初期のよたよた飛ぶ飛行機の頃から実際に見てきた佐貫先生は、この飛行機をどのように見て何をおもっていたのか。文章からは皮相的な感情しか感じられないのですが。
「ジェットの夜明け」
あんまりジェット旅客機には興味がありません。
「快走カラベル」
あんましジェット輸送機には興味がありません
「星の戦闘機」
あんましジェット戦闘機には興味がありません
「安全ジャンボ」
ジャンボには乗りますけど、怖いです。
「三つ星」
あまりジェット旅客機には興味がないのです。
「大胆な塗装」
どうもジェット旅客機には今ひとつ。
<登場飛行機一覧>
1 「白鳥号」
2 96陸攻
3 B・E・12
4 B・E・2c
5 BAC-111
6 DFS194型
7 F・E・2b
8 F・E・8
9 La15型
10 La5型、7型、9型、11型
11 P-12F
12 PS−1
13 R・E・8
14 R-5型練習機
15 S・A・I207、403
16 S・E・5、5A
17 V2
18 YS-11
19 アームストロング「ウイットワース」F・k・8
20 アームストロング「ホイットレー」
21 アブロ「マンチェスター」
22 アブロ「ランカスター」
23 アルバトロス4発輸送機
24 アルバトロスDⅢ
25 アルバトロスDI、DⅡ
26 アルバトロスDrI
27 アルバトロスDV
28 アルバトロス偵察機
29 イリューシンⅡ-2「シュトルモビク」
30 ウェストランド・ライサンダー直協機
31 カーチスA8「シュライク」(モズ)
32 カーチスJN-4
33 カーチスP-40E
34 キ10
35 キ11
36 キ15「神風」
37 キ17(九五式三型)練習機
38 キ27「九七戦」
39 キ76
40 キ9(九五式一型)練習機
41 グラマンF4F「ワイルドキャット」
42 グラマンF6F「ヘルキャット」
43 月光
44 ゴータ重爆撃機
45 コードロンC710
46 コードロンC714戦闘機
47 コードロンC760
48 コードロンG型
49 コードロンR型
50 コードロン競争機
51 コルセア
52 コンソリデーテッドB-24「リベレーター」
53 コンソリデーテッドPB2Y「コロネード」
54 コンソリデーテッドPBY「カタリナ」哨戒飛行艇
55 サボイア・マルケッティS・M・79
56 サボイア・マルケッティS・M・82
57 サルムソン
58 サルムソンSAL・2-A2
59 サンダーランド
60 ジービー
61 ジーメンス・シュッカートDⅢ、DⅣ
62 ジーメンス・シュッカートRⅧ
63 シュドアビアシオン「カラベル」Ⅰ~Ⅵ
64 ショート飛行艇
65 スカウト
66 ズバ(S・V・A)
67 スパッドS・11
68 スパッドS・16
69 スパッドS・7
70 スパッドSⅧ
71 スピットファイアV型、Ⅸ型
72 セバスキーP-35
73 セバスキーP-43「ランサー」
74 セバスキーP-44「ロケット」
75 ゼロ戦A6M6
76 ソッピース「キャメル」
77 ソッピース「スナイプ」
78 ソッピース「パップ」
79 ダグラス「ドーントレス」SBD1(海軍)、SBD2(海兵隊)・・・SBD5、A−24A、B
80 ダグラスC-41、C-48、C-49、C-50、C-51、C-52
81 ダグラスC-47
82 ダグラスC-53
83 ダグラスDC-1
84 ダグラスDC-10
85 ダグラスDC-2
86 ダグラスDC-3
87 ダグラスDC-6B
88 ダグラスDC-7C
89 ダグラスDC-8
90 ダグラスDC-9
91 ダグラスDST
92 ダグラスTBD-1「デバステータ」
93 チャンス・ボートF4U-1「コルセア」
94 ツェッペリンR型
95 ツポレフTu-20
96 デハビランド「アルバトロス」
97 デハビランド「コメット」4A
98 デハビランド「ドラゴン・エクスプレス」
99 デハビランド「ドラゴン・ラピード」
100 デハビランド「モスキート」
101 デハビランド2
102 デハビランド5
103 デハビランド9型
104 デハビランドD・H・83「フォックスモス」
105 デハビランドD・H・84「ドラゴン」
106 デハビランドD・H・89「ドミニ」
107 デハビランドD・H・90「ドラゴンフライ」
108 ドペルデュサン水上機
109 ドルニエDoX
110 呑龍
111 ニューポール11型~27型
112 ノースアメリカンB-25
113 ノースアメリカンP-51「ムスタング」
114 ノースロップ「ガンマ」計爆撃機
115 ハインケルHe111
116 ハインケルHe118
117 ハインケルHe162
118 ハインケルHe177
119 ハインケルHe51
120 ハンドレページ「ハリファックス」
121 ビッカース
122 ファルツDⅢ
123 ファルツDXⅡ
124 ファルマンF-50、F-60
125 フィアットCR32
126 フィーゼラー「シュトルヒ」偵察機
128 フェアリー「ソードフィッシュ」
129 フォッカー3M
130 フォッカーDⅥ
131 フォッカーDⅦ
132 フォッカーDⅧ
133 フォッカーDrⅠ
134 フォッカー三葉
135 フォッケウルフFw190A-3
136 フォッケウルフFw200「コンドル」
137 ブリストル「ボーファイター」
138 ブリストル・ファイター
139 ブリストルF2A、B
140 ブレゲー14型
141 ブレゲー19型A2、14B
142 ブレリオ
143 ベランカW・B・2「ポワン・ダンテロガシオン(疑問符)号」
144 ヘンシェルHs129
145 ボーイング377ストラトクルーザー
146 ボーイング707
147 ボーイング727
148 ボーイング737
149 ボーイング747
150 ボーイングB-17「フライング・フォートレス」
151 ボーイングB-17F、G
152 ボーイングB-29「スーパー・フォートレス」
153 ボーイングB-47
154 ボーイングB-52A、B、C、D、E、F、G、H
155 ボーイングP-26A「ピーシューター」(豆鉄砲)
156 ホーカー「ハリケーン」
157 ポミリオ
158 ポリカルポフ イ-15
159 ポリカルポフ イ-16
160 ポワザン偵察機
161 マーチンサイドG・100
162 ミグ15型
163 ムスタングP-51D
164 メッサーシュミットBf109E、F
165 メッサーシュミットBf110
166 メッサーシュミットMe163
167 メッサーシュミットMe262
168 メッサーシュミットMe323
169 モーリス・ファルマン
170 モスキート
171 モラーヌ・ソルニエ
172 ヤコフレフ1型
173 ヤコフレフ3型
174 ヤコフレフ9U型
175 ユンカースCL-1
176 ユンカースE-1
177 ユンカースG24、G31
178 ユンカースJ-1
179 ユンカースJu52/3m
180 ユンカースJu86
181 ユンカースJu87「シュトウカ」
182 ユンカースJu88
183 ライト式フライヤー
184 ラグ3型
185 リパブリックP-47サンダーボルト
186 ローラントCⅡ「ワールフィッシュ」
187 ロッキード「ハドソン」
188 ロッキード・スーパーコンステレーション
189 ロッキードF-104「スターファイター」
190 ロッキードL-1011「トライスター」
191 ロッキードP-38「ライトニング」
192 一式戦闘機「隼」
193 一式陸上攻撃機
194 九五式戦闘機(キ10)
195 九三式単発軽爆撃機
196 九試艦攻
197 九七式一号艦上攻撃機
198 九七式三号艦上攻撃機
199 九七式戦闘機
200 九七式中爆撃機キ-21
201 九七式二号艦上攻撃機
202 九二艦上攻撃機
203 九二式戦闘機
204 九八式直協偵察機キ-36
205 九六式陸上攻撃機
206 五式戦闘機(キ100)
207 航研機
208 三式戦闘機「飛燕」
209 四式戦闘機「疾風」
210 四式中爆撃機キ-67「飛竜」
211 七試艦攻
212 十三式艦上攻撃機
213 十試艦攻
214 中島九試単戦試作機
215 二式戦闘機「鐘馗」
216 二式大艇
217 八八式軽爆撃機
218 八八式偵察機
219 百式司令部偵察機キ-46
220 百式中爆撃機キ-49
221 六試艦攻
講談社
昭和49年発行
佐貫亦男
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿