第二次世界大戦前後の飛行機のフォルムに惹かれて数十年。戦争に使われた飛行機、民間で使われた飛行機、暗い運命を背負った飛行機、栄光に包まれた飛行機・・・そして飛行機にかかわった人間も、興味深いものがあります。そんな飛行機の登場する本を紹介していきます。また、本文に出てきた飛行機をできるだけひろってみたいと思います。
シェパード
「ジャッカルの日」で有名なフレデリック・フォーサイスの短編集である。他に、「ブラックレター」「殺人完了」という飛行機は全く出てこない作品が入っている。
表題の「シェパード」は霧の中で故障がおきてさまようヴァンパイア戦闘機を助けるモスキートの話である。フォーサイス自身が編集した「翼を愛した男たち」というアンソロジーでは「羊飼い」という題で同じ話が掲載されている。訳が違うお話を続けて読んでみるのも一興かも。
モスキートが霧の中から現れる場面は印象的である。双方の訳にも違いがある。
篠原訳では「短い機首と球形のコックピット、機首にとまった気泡のような風防、ロールスロイスのマリーン型エンジンを翼下に抱き込んだスマートな二基のエンジン・ポッド」
伏見訳では「短い機首、涙滴型のキャノピイ。機首にもパースペクスのふくらみがあり、二門の機関砲が敵に向けられている。すらりとした格好のいいエンジン覆いは、左右の翼にぶらさがったような格好である。そこに収められているのは職人芸の傑作ともいうべきロールスロイス・マリーン・エンジンであるが、それがうなりをあげ、夜の闇を家に向けて突き進んでいる。」
フォーサイスは1956年から58年までイギリス空軍にいた経験がある。ヴァンパイアは戦争直後に現役についたので、その頃ではオンボロ機になっていたはず。
「ブラッカムの爆撃機」と同じような雰囲気の話ですね。
1 ヴァンパイア
2 デ・ハヴィランド・モスキート
3 スピットファイア
4 ハリケーン
5 ハリファックス
6 スターリング
7 ランカスター
角川書店
昭和50年12月10日
フレデリック・フォーサイス 著
篠原 慎著
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