アメリカ軍の北九州地区への空襲に対して、二式戦闘機「屠龍」で防空戦闘を行い、26機のB-29を撃墜した樫出大尉の昭和19年から20年にかけての記録である。
屠龍は、37ミリ戦車砲を機首に積んだ双発戦闘機で、爆撃機撃墜を目的に開発された。37ミリ砲の弾数は15発しかないが、戦車砲の威力はすさまじく、頑丈な機体でなければ装備できなかった。しかし、その威力ある37ミリ砲に撃たれても、しぶとく飛び続けるB29も大変なものだ。
37ミリ砲を撃ちこまれながら逃げ去るB29の話が何度も出てくる。その後に海の中に落ちてしまったりするのだが、ヨーロッパ戦線でのB17のエピソードは映画化されたり、小説になったりで有名だけれど、B29ではないなあ。
樫出勇氏の記録は、この手の戦記にありがちな華美な書き方はなく、淡々としていて読み易い。B29が行う無差別爆撃やその爆撃を阻止するためのB29への自爆攻撃など、戦争の悲惨さは言うまでもない。
1 二式重戦闘機「屠龍」
2 九七式戦闘機
3 月光
4 B-29
5 B-17
6 B-24
光人社文庫
樫出勇
2005年3月
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